箱とその中身 [トンボ]
ヤブヤンマのヤゴ。
鼻をつくような異臭を放つ腐った水の池にいました。触れば指が溶けてしまうんじゃないかと思えるような水、一瞬で何かに感染しそうな水。こんなところで育つことができるなんて、タフな種類のヤンマです。
オオシオカラトンボ。
ヤゴは生物だけど羽化殻は生物じゃない。いつから生物じゃなくなるのか。羽化が始まったとき?本体が反り返ったとき?腹部を抜いたとき?
コシアキトンボ。
池に隣接する笹薮で羽化していました。本体は生物で羽化殻は生物じゃない。
オオアオイトトンボ。
これから羽化です。まだ箱もその中身もどちらも生物と言っていいような気がします。
コノシメトンボ。
自宅前の人工池でアカネ達の羽化がピークを迎えていました。9割くらいがコノシメトンボ、残りがアキアカネでした。ネキトンボもいると思うからもうちょっと探してみよう。
バスの乗降トラブル4件 [トンボ]
昔からバスの運賃支払いが苦手だった。お金がないとかお金を数えられないとかそういうことじゃなくて、いつ支払ったらいいのか、前払いor後払い、いくら払ったらいいのか、どっちのドアから乗ってどっちのドアから降りる、とかそういうこと。全く分からないってことはなくて、なんとなくは分かるし普段乗る路線では間違えることはない。前から乗って行き先を告げてSuicaをピッとかざすだけだ。降りるのは後ドアから。あるいは全区間一律のバス会社では同じように前から乗ってSicaをピッとやって降りるのは後ドア。乗りなれた路線なら間違えない。でも先日、出先で4つのバスに乗って4つとも間違えた!!
トラブル1。
始発バス停から乗って、路線の途中で降りようとした時のこと。前ドアから乗って行き先を告げていつも通りSuicaをピッとやって、あとは後ろのドアから降りるだけ。と思ったのに、バス停についても後ろのドアが開かない!どうやら前から降りるシステムだったらしい・・・。しかも降りる人が降りないと乗る人が乗れないので、私がオロオロしてるとその分だけ出発が遅れるわけ。人をかき分けてようやく前ドアにたどり着いて降りるときに、運転手さんに「早くしてください」とか言われる始末ですよ。なんで後ドアが開かないのか、いまひとつ理解できないまま恥ずかしく悔しい思いをしたのでした。
トラブル2。
路線の途中から乗って、路線の途中で降りようとしたときのこと。前ドアから乗って、いつも通りSuicaをピッとやったら、初乗り料金だけが差っ引かれてしまいました。どうも乗ったときは何もせず、降りるときに精算するシステムだったらしい。そうなら始めに言ってくれよ!運転手さんには「ウチはそういうシステムなんだよ!」とかキレ気味に言われる始末。なんで後ドアから乗車させないのか、いまひとつ理解できないまま恥ずかしく悔しい思いをしたのでした。
トラブル3。
路線の途中から乗って終点まで行こうとしたときのこと。トラブルが起きないようにバス停に書いてあったことをあらかじめよく読んでいました。それによると「後ドアの乗り口で整理券を取ってその番号に対応する料金を後払いする」とのことらしい。ところがいざ乗ろうと思ったら整理券発券機がテープで塞がれていたわけ。なんかシステムが変わっていらなくなったんだと思いこんでそのまま乗っていたら、降りるときに最長区間の料金を請求されてしまったのでした。しかも運転手さんには「あなた乗車するときSuicaかざさなかったでしょ」とかキレ気味に言われる始末。だってバス停にはそんなこと書いてなかったし発券機は使えなかったし。なんで発券機がテープで塞がれていたのか、なぜ乗るときにSuicaをかざすよう案内がなかったのか、いまひとつ理解できないまま恥ずかしく悔しい思いをしたのでした。
トラブル4。
路線の途中から乗って、路線の途中で降りようとしたときのこと。Suicaでトラブル続きだから今回は現金で支払うことにしました。首尾よく後ドアの整理券をGETして、あとは出るときに前で支払うだけだ。目的地バス停についていざ、支払い!小銭がなかったから1,000円札を機械に入れ、ジャラジャラと出てきたおつりをつかんで外に出ました。今回は無事終了!と思ったのもつかの間。運転手さんに呼び止められて「この機械は両替だけですよ!」とキレ気味に言われる始末。そんなバカな!いつも乗るバスではおつりが出てくるのに!なんでおつりが出る場合と両替しかできない場合があるのか、いまひとつ理解できないまま恥ずかしく悔しい思いをしたのでした。
何もせこい事して料金を安く済ませようとかタダ乗りしようとか思ってるわけじゃない!普通に乗車して正規の料金を迅速に正確に支払おうとしてるだけだ!確かに私が思い込んじゃったりよく分かってないからトラブってるわけだけど、地元じゃないんだからそのバス会社のシステムなんて詳しく知らないよ!システムが分からなくてちょっと間違えたからって運転手さんが客に対してキレ気味に捨て台詞を言うなんておかしいんじゃないか!運転手さんはシステムが知らない人が乗ることもあるという想定をしていて欲しい。そんなわけで出先でバスに乗るのがやや怖い。ちなみに普段乗るバスは毎回毎回1人1人に対してシステムの説明をしてくれる。私はこちらのシステムなら知ってるから説明は要らないけど、運転手さんはシステムを知らない人が混ざってる想定をしてるってことだ。
写真は
1 シオカラトンボの交尾体が飛んできて・・・
2 産卵and警護飛翔♂
3 あ、別のオス(上)がメスに飛びかかって・・・
4 見事に奪って飛んでいきました。元のオス(下)の表情が哀れです。
撮りにくいサラサ [トンボ]
サラサヤンマを見てきました。小型でカッチョ良いヤンマ。気候がいいこの時季に小気味よく飛ぶ姿を見たくなってしまいました。生息地の減少で今年は見られるかちょっと心配だったのですが、そんな心配をよそに、たくさんの個体が元気よく飛んでいる姿が見られました。よかったよかった。まぁ、だからといって安泰というわけでもないですが。
休憩中のメス。産卵に来るメスもたくさん見られました。そのたびにオスに見つかって連れ去られていきました。産卵シーン、交尾シーンも多く見られました。
サラサヤンマは撮影しやすい方のヤンマだと思いますが、撮影しにくい一面も見せてくれました。
小さく写ってますが画角の広いレンズなのでトンボとの距離はこれで10cmくらい・・・。どんどん近づいてきました!
近い近い!2cm!
0cm・・・。レンズに止まってしまいました。これじゃ撮れませんよ。
メスもよく近づいてきました。そんでズボンや靴に産卵されました。こんなに近づいてくれるヤンマは他にいないと思う。
はや成熟期 [トンボ]
美しいヤンマの世界 [トンボ]
この時季最盛期を迎えているはずのクロスジギンヤンマですが、あまり姿を見せずいまひとつ盛り上がりにかけました。やはりちょっと遅れてるのかな。それでも時々オスが現れ、鮮やかな色彩を自慢しては去っていき、自慢しては去っていき、をくり返していました。ああキレイだった。
1枚目は腹部が日光の反射でテカッてしまいましたが、こちらは角度がよくてブルーのドットがキレイに写りました。この腹部の柄がクロスジギンヤンマの美しさのポイントの一つ。
こちらは日が陰ったときに撮りました。腹部も複眼もテカッていませんが、ちょっとコントラストがなさすぎるかも。感度を上げているので画質も悪くなりました。ヤンマには強さだとか、生態の面白さだとか、色彩の鮮やかさに魅力を感じていますが、クロスジギンヤンマは特に色彩にひかれます。年1回、この時季限定というのもなんかそそります。
夕方、メスが産卵にやってきました。波紋を作りながらの産卵でした。
おまけ。マルタンヤンマの脱皮。だいぶ大きくなってきたので、あと数週間で羽化するかもしれません。楽しみ。
ネコと話す方が簡単 [トンボ]
コシアキトンボかショウジョウトンボかその他かのヤゴか。よく分からない。
自宅前の人工池のヤゴたちはどうなったのか気になって、また網を入れてみました。1回すくうごとに5匹くらいのヤゴが入って、20回くらいすくったので100匹くらいのヤゴが捕れました。目的は種類別と割合を調べることでしたが・・・
1枚目と同じ種類でまだ小さいヤゴか他の種類のヤゴか。よく分からない。
前回(3/24記事)と大きく異なっていた点は、シオカラトンボ属のヤゴが入らないこと。多分、5月上旬までに羽化が終了したのでしょう。それ以外のトンボ科のヤゴたちも数mmだったのが1cmを超えるようになってきました。そして、ほんのちょっとだけど形の違いがあるので、どうやら数種類が混ざっているようだ、ということも分かりました。あと、前回はかなりの回数網を入れて14匹しか捕れませんでしたが、今回はずいぶん数が増えました。
ショウジョウトンボ?いやコシアキかも。いやそれ以外かも。よく分からない。
問題はいくら優秀な図鑑と照らし合わせてみても写真だけでは種類を特定するまでには至らなかったこと。見る人が見ればすぐに分類できちゃうのかもしれませんが、私には「どうやら数種類いそうだが自信がない」くらいしか思えませんでした。
上と同じか?それとも別種か?よく分からない。
これも上と同じの若い個体か?
こちらは他のヤゴよりずいぶん細身に見えます。細身に見えるだけで、実際は別種なのか同種なのかすら判断できません。
ちょっと黄色いヤゴ。コノシメ?それとも他のトンボ?
ヤンマ科のヤゴの判定はある程度自分にもできると思っていますが、トンボ科のヤゴの判定は全くできません。私にとって、この類のヤゴの判定をするより、ネコと話す方が簡単だということが分かりました。
違いがちょっとすぎる気がする。全部同じ種類と言われたらそれを信じるし、全部違う種類と言われたらそうかもしれないと思う。
これは他のヤゴとは明らかに形が違うので別種と断言できます。均翅亜目(イトトンボの仲間)のヤゴです。イトトンボは主に水草に産卵するので、水草が全くないこの池でイトトンボのヤゴが捕れるとは全く予想していませんでした。ビックリ。たぶん、水草がなくても産卵が可能なオオアオイトトンボのヤゴだと思います。オオアオイトトンボは池にせり出した樹木の枝に産卵して、春になると枝で孵化したヤゴが池に落ちる仕組みになっているそうです。
羽まれる [トンボ]
羽化直後のセスジイトトンボ♂。人工物での羽化でしたが、透き通った翅と腹部はあまりに美しく、暫し見とれてしまいました。数分後、透明のままヒラヒラと飛んでいきました。
セスジイトトンボ未熟♀。身体の色がブルーだったのでオスかと思いましたが、あとでよく見たらメスでした。未熟のときはブルーなんだっけ?
シオカラトンボ♂。無事に羽化できました。羽化は何度見ても感動します。
同じくシオカラトンボ♂。こちらも羽化成功に見えましたが、なんと翅についた朝露が邪魔して翅を広げることができず、ついにこの個体が飛び立つことはありませんでした。
ヤマサナエも羽化しました。ファーストフライトで桑に止まったところ。5月からは本格的な春のトンボシーズンになりそうです。
記事タイトル「羽まれる」。ここのところネガティブなタイトルが続いてしまいました。心身ともにあまり余裕がなくややキツイ生活をしていました。あまりよろしくない精神状態が記事タイトルにも現れてしまったのかも。心身ともに健康であれば別のタイトルにしていたと思います。体調はまだ万全ではありませんが、今回のタイトルはポジティブなイメージで「羽まれる(うまれる)」。「はまれる」「はねまれる」じゃないよ。
分かりにくい [トンボ]
前記事最後の写真のアサヒナカワトンボ♂。
こちらはニホンカワトンボ♂。アサヒナカワトンボとニホンカワトンボは色も大きさも生態もほとんど変わらず、私には全く見分けがつきません。似たような種類でも飛び方が違ったり大きさが違ったりすれば、フィールドでも感覚で判断できる例はたくさんありますが、この2種に関しては全然分からないデス。
左上:ニホンカワトンボ♀ 右上:ニホンカワトンボ♂
左下:アサヒナカワトンボ♀ 右下:アサヒナカワトンボ♂
教科書的には何箇所か見た目が違うようなことが書いてあったので、撮ってあった写真で翅の先にある縁紋を比べてみました。教科書に書いてあった通り、オスメス共に縁紋の幅がニホンカワトンボの方が少し大きいようです。両方を並べて比べることでようやく違いが分かるけど、フィールドでどちらかを判断するのは大変難しい。というか無理なのでは。
ニホンカワトンボ♂縄張り。
近くに別の個体が寄ってくると激しく追い立てていました。
腹部を反り返らせて翅の掃除をしていました。
その後、今度は腹部を内側にまげて腹端の掃除をしました。
目が慣れてない [トンボ]
ダビドサナエを見に行きましたが、あまり多くありませんでした。例年だとこの時期には多くの個体が流れの横の葉上で日光浴している姿を見ることができるんですが。去年も発生が遅れましたが、今年も去年ほどではないにしろ若干遅いかもしれません。
ダビドサナエ♀。トンボだと思ったら別の虫だったり、別の虫だと思ったらトンボだったりということがたくさんありました。発生が遅れてるとか個体数が減少したとかではなく、ただ単にシーズン初めで目が慣れていなくて、トンボはいるのに見えてないだけかもしれません。
トンボの羽化を探しに行って見つけたシオカラトンボの羽化殻。丹念に探したずなのに全然見つかりませんでした。でも1つ見つけるとその後はたて続けに4つ見つけられました。一度探したはずの場所からも見つかるのがショックでした。
シオカラトンボ未熟♂。シオヤトンボが少ない場所ではシオカラトンボの発生が早いような気がしますが・・・
羽化不全のアサヒナカワトンボ♀。だんだん目が慣れてきたようです。よく見つけたぞ、俺!
アサヒナカワトンボ♂
いるのに見えていないのは悲しいことです。まずはシーズン前半戦。しっかりと満喫するためにも、いち早く眼力をアップさせる必要がありそうです。
縁起悪? [トンボ]
ようやくシオヤトンボに会うことができました。久しぶりに見るトンボ成虫。羽化して間もないメスで、鮮やかな黄色が目を潤してくれました。うるうる。トンボは今年度もやはり芸術的で魅力的でした。
同じ個体。実は4月21日に別の場所で羽化直後のシオヤトンボと思われるトンボ成虫を目撃していたんですが、その時は遠くに飛んでいってしまって撮影はできませんでした。新年度第一発見トンボ成虫を撮影できないのはどうも縁起が悪い気がします。この個体は今年度2匹目。この子は写真に納まってくれました。
すでに半熟のオスもいました。やはり3~4日前から羽化が始まっていたのでしょう。こうして休日にトンボを見かけて喜んでいられるのは、この辺りの社会がが正常に機能しているおかげです。家はなくなり生きるだけで精一杯の方もいらっしゃいます。今は細かいことでイチイチ社会に文句を言える立場ではないです。謹んでトンボとのふれあいを楽しみたいです。
人工池でヤゴ掘り [トンボ]
昨年10月に撮影した自宅前にある人工池でのコノシメトンボの産卵。コンクリート張りの池で水深は約20cm、土なし、水草なし、真冬に1cmほどの氷が張ります。昨年この池で産卵を確認したのは、ウスバキトンボ、アキアカネ、コノシメトンボ、ネキトンボの4種。ウスバキトンボは日本の冬は越せず全滅するし、アキアカネとコノシメトンボは卵で越冬なので、今ヤゴがいるとしたらネキトンボかもしれない。ネキトンボは市内では生息地が限られていてどちらかというと珍しいトンボなので、もしもネキトンボが自宅前を繁殖地にしていたら嬉しいなぁ・・・
住宅地で人目があるのでヤゴ掘りをやろうと思っていてもなかなかできませんでした。でもネキトンボのヤゴがいるのかが気になっていたので、ついに意を決して網を入れました。人目につかないように雨の日の早朝に決行しましたが、もし見られてたらその方が怪しいかも。
早速網に入ったのが9mmほどの四角い頭部が特徴のOrthetrum属幼虫。シオカラトンボかな。6匹確認できました。
こちらは頭部が三角形の4mmほどのトンボ科(Libellulidae) の幼虫ですが、小さすぎて種類までは判別できません。この形のヤゴが8匹採れましたが、すべて同種なのか数種類が混ざってるのかも分かりません。ヤゴ図鑑も見ましたが、判別するにはやはり小さすぎてよく分かりませんでした。でも腹部の形がどうもネキトンボではなさそうだなあ。ショウジョウトンボかコシアキトンボのような気がします。飼って羽化させれば種類が分かりますが、そこまでやるほど知りたいわけじゃない。あっさりとリリースしました。6月くらいに羽化すると思うので、その時に池で羽化殻を拾えば判定できるでしょう。
今年の成果! [トンボ]
今年も最終日になってしまいました。今年は忙しくてあまり動けない年になると思ってたけど、何とか頑張って一定の成果を上げることができました。
写真は5月に撮ったコシアキトンボの羽化。羽化は何度見ても感動します。
5月・・・ヨツボシトンボが大量に沸く池を発見!
6月・・・ヒヌマイトトンボの産地を発見!県内産アオヤンマを撮影!
7月・・・マルタンヤンマ、ヤブヤンマの黄昏飛翔調査。マルタンヤンマの交尾について考察。
8月・・・近所でネアカヨシヤンマの黄昏飛翔を確認!近所にセスジイトトンボ多産地を発見!
9月・・・ハネビロトンボの飛来を確認!
10月・・・近所にカトリヤンマ産地を発見!
11月・・・近所にミヤマアカネ産地を発見!近所にミルンヤンマ産地発見!
こうして書いてみると大発見が多かった年でした。環境がどんどん悪くなっていく中で、非常に限られた特定の場所で細々と命をつないでいるトンボ達の姿がとても印象的でした。ガラスの靴のような環境です。近づくだけで解けてしまう雪の結晶のような環境。人知れずいつの間にかいなくなってしまった種類も多かったのでしょう。jan-ll8が今住んでいる場所も、昔はトンボの住処だったのかもしれません。写真は7月に撮ったマルタンヤンマの交尾。
以前、トンボがセミを食べるシーンを載せると書いた気がします。8月に「ヒグラシを捕らえたオニヤンマ」を撮影していました。ウチワヤンマとかコオニヤンマとかオニヤンマなど大型のトンボは、飛んでいるセミを飛びながら捕らえることがあります。トンボは飛ぶという能力に関しては最も優れた昆虫かもしれません。
好きな生き物がいるのはとてもいいことだと思います。ただ、その生き物さえ無事ならいいという考えに陥りやすいので注意が必要です。○○を守るためになんでもかんでもやっちゃう団体がいて、散々○○にいいと思うことをやって、その結果○○が激減したという例があります(○○には例えばホタルが入ります)。もちろんうまくいった例もありますが、○○にいいだろうというのは人間の勝手な思い込みに過ぎない場合があります。○○が生きていくには環境が整っている必要がありますが、環境にはその環境自身の遷移や○○の天敵すら含まれているし、人間にはまだ理解不能な未知の要素も含まれているのかもしれません。好きな生き物というのは、無限に広がる生き物達の世界に入るための入口に過ぎないんだと思います。
同じ棒にオオシオカラトンボ(左)とシオカラトンボ(右)が止まりました。8月。
なんだかんだで今年は63種類ものトンボを撮影していました。jan-ll8自身は、たくさんの種類のトンボを撮影することよりは、身近な普通種であっても面白い生態を撮影することに重きを置いているので、63種類は出来すぎ、というかやりすぎたという感じです。
アオモンイトトンボ♀。9月。
まぁ、これは今だからこそ動ける、今しか動けないという焦りからきていることは間違いないです。これだけ動ける年は今後もうないだろうし、もし定年後に暇になったとしてもその時は体力と視力がないでしょう。つまり今年は人生最大の成果をあげるべき年だったということ。焦りに乗じていろいろ見れたし勉強になりました。
10月、秋雨の日の朝、我が家のベランダにコノシメトンボが雨宿りにきてくれていました。一日中いるかと思ったら、10:00amくらいに雨の中飛び立って行きました。晴れた日は午前中に池に飛び込んで水を飲むトンボをよく見かけますが、もしかすると雨の日であっても水を飲みに出掛けるのかもしれません。
jan-ll8がトンボの写真を撮るのは、もちろんトンボの生き生きとした姿を写し撮りたいというのもあるけど、それよりはむしろトンボの生態を把握するための一助にしたい気持ちが強いです。フィールドに出てトンボを見て写真を撮って生態を把握する。トンボの好きな環境、気象条件、餌、行動等の生態は知られているようでまだまだ知られていないことが多いんです。というか知り尽くすことは不可能なくらい多様な行動様式を持っています。それらが知られていないがために、知らず知らずのうちに数を減らしていつの間にかいなくなってしまう・・・。トンボの生態をよく知っておくこと、いつかは保全のためにその知識を役立てたいと思っています。
駆け足で通り過ぎていく日々をマウンテンバイクUllrich号で死に物狂いで追いかけました。往復で100km以下の時はなるべくUllrich号にまたがって撮影に行くようにしました。ポイントに着くまでは辛さより楽しみが勝るし、ポイントに着いてからの機動力は自転車に勝るものはないです。非常に効率よく現地を回ることができました。そもそもポイントまでに掛かる時間は車と大して変わらないか、むしろちょっと早くつけるしね。おまけに体力もつく。いいことだらけ。今年はUllrich号だけで3,500kmくらい走りました(もう1台ロードがある)。去年は5,000kmを越えていたのでそれには全然及びませんでしたが・・・。Ullrich号、今年も1年間ありがとう。お疲れ様でした。
デコイ [トンボ]
12月9日「メスのふり?」の記事でマユタテアカネのオスが産卵行動に似た動きをしたと書きました。これについてトンボに詳しい知人に聞いてみたところ、「メスが少ないときに時々見られる行動で、メスのふりをすることで近くにいるメスを安心させ水辺に寄せる意味がある。」と教わりました。デコイ行動と言うらしいです。
トンボのメスはオスがいるとすぐに捕まってしまって摂食も産卵も全然自由にできないので、オスがいない時間帯を選んで行動する傾向があります。デコイ行動はそれを逆手に取った作戦なんですね。スゴイ。もしこの行動によって本当にメスが寄ってきて捕まえることができたとしたら、かなりエキサイティングなことです。相当高度な技のように思えます。そこまでしてでも交尾をしなければならない必要性が強く感じられますね。
オス必死です!
そういえば今年の5月に「オスが産卵!?」というタイトルで、サラサヤンマのオスが地面に止まってまるで産卵するかのような行動をしたのを記事にしました。その時は移精をしていると思ったのですが、もしかするとこれも「デコイ」だったのかもしれません。知れば知るほどトンボは奥が深いです。
いるところにはいる [トンボ]
12月も中旬を過ぎましたが、いるところにはまだまだたくさんのトンボがいます。昨年のこの時季は5~6匹のアキアカネがいたのみでしたが、今年は12月上旬が暖かかったからか、20~30匹のアキアカネを見ることができました。年越しまでは・・・えっと、10日ちょいか。さすがに厳しいだろうなぁ。
ヒメアカネ♂も4匹だけ見ることができました。翅はボロボロ、身体もボロボロの老熟個体ばかりです。頑張ったよ。気温が上がらず生殖活動はもうできないと思います。でも、もしももしも生殖活動が出来るくらい気温が上がることがあれば、その時には生きていなければならない。
人工物に止まることがよくあります。アキアカネが農業用の白いビニールシートに止まりました。下からの反射光も利用できるので、葉っぱより効率良く体温を上げられるんだと思います。絵にはならないですね。
人工物というか「人」にも好き好んで止まりました。体温を感じている?どうせ止まるなら左手に止まってくれよ。撮りにくいから。
樹上産卵 [トンボ]
落ち葉とアカネ [トンボ]
アキアカネ Sympetrum frequens
ナツアカネ Sympetrum darwinianum
マユタテアカネ Sympetrum eroticum eroticum
ヒメアカネ Sympetrum parvulum
コノシメトンボ Sympetrum baccha matutinum
アカネ達はまだまだたくさんいますが、動きが少なくなってだいぶ寂しくなりました。棒の先に止まる個体は見られなくなり、落ち葉の上で日光浴するようになっていました。シーズン最終盤、初冬を感じます。12月になっても晴れて20℃前後になれば産卵が見られることもありますが、寒くなるにつれどんどん数を減らしてシーズンが終わっていきます。
あとはいつまで見られるか確認するくらいかな。ウチの地域では例年クリスマスくらいまでは見られますが、年越ししたアカネはまだ確認できていません。いつか確認したいとは思ってるんだけど、正月から寒い思いして、いるかいないか分からないアカネ探しをするのは気が乗らないんだよなぁ。昨年は頑張って1月2日にアカネを撮ろうと出掛けたんだけど、やはり徒労に終わりました・・・。
メスのふり? [トンボ]
アカネ4種 [トンボ]
減ってきました [トンボ]
オオアオイトトンボ♂。初夏に羽化して数ヶ月間は森の下草らへんでエサを取ったり寝たりしています。晩秋になるとようやく池に下りてきます。不均翅亜目にしては珍しく翅を開いた状態で止まります。
羽化したてのころはグリーンメタリックでそれはそれはキレイなんですが、成熟するにしたがってゴールドも混ざってきます。これはこれでキレイ。それにしても見られるトンボが減ってきました。普通に見られるのはこのオオアオイトトンボとアカネの仲間くらいなものです。寂しい・・・
14:00。もう夕方の空気が流れ始めるころ連結していました。産卵は水面に飛び出した樹の枝にします。人気のある枝はメスの産卵管の跡で傷だらけになり弱ってしまうこともあるので、トンボとしては超珍しく害虫とされることもあるようです。まぁ経済被害はゼロに近いと思いますが。
逆光写真の可能性 [トンボ]
ナツアカネの連結打空産卵を逆光で撮ってみました。落ちていく卵が光るので分かりやすいですが・・・
トンボはシルエットになってしまうので柄や色はほとんど分かりません。輪郭は順光よりはっきりします。
卵が落下していく様子が写っていてこれはこれで生態写真と言えなくはないでしょうが、やはりトンボの写真はトンボの形態的な特徴を写したいところ。
順光で撮ったもの。オスが真っ赤でメスはオレンジ~黄色であることが分かります。そのかわり、落ちていく卵は逆光ほど目立ちません。でもやっぱ順光の方がいいかな。
逆光の良いところは輪郭が引き立ち、卵が光って写ること。順光の良いところは色柄の特徴が写ること。これらをいいトコ取りすると、「両方から光を当てること」となります。可能性としては、レフ版やストロボの利用が考えれます。「逆光+ストロボ」という撮影技術がありますが、トンボの場合ストロボで偽瞳孔が潰れてしまうことが多いのであまりやりたくありません。「順光+逆光ストロボ(レフ版)」はどうかな。これなら多分いいトコ取りの写真になりそうですが、どうやってトンボの向こうにストロボをセットするのかが大問題です。う~ん。
越年2種 [トンボ]
見られるところまで行って [トンボ]
カトリ新産地にて [トンボ]
限界 [トンボ]
食べられる! [トンボ]
先のない旅 [トンボ]
朝刊を取りに行くついでに自宅前の人工池に寄ってみました。なんと10月も下旬だというのにウスバキトンボがまだ羽化を続けていました。奥でももう1匹羽化してます。
上の写真の左奥の個体。まだ羽化したてで白っぽい。この日はだいぶ気温が下がっていて羽化に時間がかかるようで、昼前になってもまだ飛び立っていませんでした。
水面には羽化に失敗して腹部が伸びないまま落下してしまった個体もいました。気温が低いのが原因なのかもしれません。
水中をよく見るとウスバキトンボのヤゴがたくさんいます。ざっと30匹はいました。
ウスバキトンボは寒さに弱く、本州では冬を越すことはできません。本州以北にやってきたウスバキトンボは冬に成虫も卵もヤゴも全滅します。それでも毎年、暖かくなるにつれて南の国から世代を重ねながら北上してきます。関東には6月下旬に姿を見せます。そして翌冬にはまた世代をつなげずに全滅する。はたして何のための旅なのか。
ウスバキトンボはひたすら旅を続け、旅先で繁殖を続けるという生態を持っています。その性質がゆえ、世界中で見ることができる唯一のトンボです。世界一個体数の多いトンボかもしれません。
アカネ3種 [トンボ]
リスアカネ。森の近くの湿地にいました。連結打空産卵をしています。いるところにはいるけどいないところにはいない。かなり生息地に好みがあるようでイマイチ理解できません。いてもおかしくないようなところにいなかったりするし。
オスは周りに他のオスがいないことが確認できると連結を解いて警護にまわり、メスは単独打空産卵に移行します。連結していればメスを他のオスに取られるリスクは減りますが、やはり体力を消耗するのでしょう。
コノシメトンボ。連結打水産卵をしています。開けた池で見ることが多いですが、稲刈り後の水田でも見られます。こちらもやはり好みがあるようで、いるところにはいるしいないところにはいない。いてもおかしくなさそうな池にいなかったり、意外な所で見かけたり。う~ん。
オスはよく水面上でホバリングをして縄張りを主張します。全身真っ赤なうえ翅に柄があるのでどこにいてもよく目立ちそうなもんですが、ホバリングをすると見えにくくなります。
ネキトンボ。翅の付根が黄色いトンボという意味。非常に美しいアカネの一種です。連結打水産卵をします。森に隣接した水深のある池に生息している印象です。市内では生息地が限られ珍しいトンボだと思っていました。ところが、自宅前のコンクリート張りで土も水草もないようなヒドイ人工池でかなりの個体数が見られます。私にはヒドイ池に見えますが、ネキトンボの目線でみれば魅力的なんでしょう。よくわかりません。
市内カトリ新産地! [トンボ]
アカネを探しに自宅から10kmほどにある稲刈り途中の水田を歩いていると・・・・・・
んっ!今何か通ったような・・・?
えっ!まさかっ!
カトリだー!!
いやーこんな近くにいるなんて!いやいや、びっくり。市内既知産地よりずっと密度が濃いようです。ただ、生息地がかなり狭いので絶対量は非常に少ないと思います。減反やら農薬やらで水田を利用するトンボは各地で激減しているけど、そんな中なんとか細々とつないでいたんだねー。いやはや立派です。
夕方、メスが産卵にやってきました。また来年、同じようにカトリヤンマがここで飛びますように。
日が沈むと地上すれすれから10mの上空まで数十匹が飛び交い黄昏摂食飛翔をしていました。なにかを捕まえて食べています。こんな景色が近所で見られるなんて想像してもみなかったよ。大発見の日でした。